スペイン語圏では意外と多いんです。”vos”を使う地域
¿Qué querés tomar?と聞いたとき!あれっ?
動詞quererは不規則だからqueresじゃなくて ” i ” が入ってquieresだよ!間違えている!と思うかもしれません。
ですが“tú”ではなくて”vos”で話しているのであれば、あっているのです!そして、quieresのように前半にアクセントが置かれずに、後半にアクセントが置かれているように聞こえませんでしたか?“レ”を強く言っていませんでしたか?そうです、後半のeの上にアクセントがついているので後半を強く言います。
”tú”の代わりに“vos”を使う地域があるということが記載してあるテキストはあまりないんです。
でも大丈夫です!
スペイン語のテキストには通常『yo,tú,él, ella, usted,nosotros, nosotras,vosotros, vosotras,ellos, ellas, ustedes』と並んでいます。
vosotros, vosotrasはスペインのみで使い、ラテンアメリカではtúの複数形もustedの複数形も両方ustedesを使うということはよく知られていますが、túの代わりにvosを使う地域があるということが記載してあるテキストはあまりありません。ですが、意外とvosを使うところは多いです。
代表的なのがArgentina
”tú”を使わず常に”vos”を使います。(一部の北の方の地域を除く)“usted”もあまり使わず、とにかく日常ではほとんど”vos”を使います。また、中南米の国々では、地域によって使うところがあったり、本当に親しい間のみで使ったり、かなりくだけた場合だったりなどということもあります。日本語にすると関西弁で”あんた””自分”などという感じかもしれません。
ちなみに、当校の講師はどんな場面でどのように使うのか?
Chris先生 Argentina
基本的には常にvos (もちろん授業中は基本的にはtúを使います)アルゼンチンでは“tú”は一切使いません。 Ustedを使うのはかなりかしこまったシチュエーションの時
Emi先生 Costa Rica
ほとんどvos ただし年配の人や先生、お店などではusted (同じく授業中は”tú”)なお、コスタリカは彼女の出身のCartagoでは“vos”を使いますが、首都のSan Joséでは皆常に”usted”で話すそう。そうです!地域によっては親しい間柄でも”tú”ではなく常に”usted”というところもあるのです。
MaríaElena先生 Colombia
彼女が出身のCaliでは親しい間柄では”vos”で話しますが、”tú”も使います。彼女は両親や上の兄弟にはusted (またはtú), 年の近い兄弟とは”vos”を使うそうです。首都のBogotáでは人々は家族や友人同士でも“usted”で話すことが多いようですが”tú”も使い、この使い分けは少し複雑です。
Carolina先生 El Salvador
親しい間柄では”vos”を使います。”tú”も使います。“tú“は“vos”と”usted”の間あたりの位置になるそう。
Noelia先生 Bolivia
すごく親しい間柄、または上司が部下に”vos”を使いますがくだけた言い方です。”tú”も使います。両親や祖父母には”usted”を使うとのこと。(全部の家族がそうではないとのこと)
そのほか、パラグアイやウルグアイも”vos”を使うことは多いです。
難しそう!と思われるかもしれませんが、実はvosの活用はtúよりシンプルなので慣れるとかなり楽です。
“イメージとしては“estar”動詞の活用のような形です。“estar → estás”になります”
✳︎ただし活用パターンは地域によりやや違いがあることをご了承ください。
●通常、動詞はquerer,poderなど不規則動詞がたくさんあります。 querer→(tú) quieres poder→(tú) puedes oír→(tú) oyes |
– POINT – querer→querés poder→podés oír→oís ●不規則動詞は serがsos irがvas (これはtúと同じですね) haberがhas (これもtúと同じ) 不規則動詞はdar, ver など単音節の動詞はアクセントはつかず、das, vesとなります。 |
●命令形は通常、命令形の活用を覚えなければいけませんが、vosの命令形は原形の最後の母音にアクセントをつけ最後のrを取るだけです。 venir→vení (tú場合はven) comer→comé (túの場合は come) decir→decí (túの場合は di) |
なお、この方式通りにすると“ir”の命令形は”í”と一文字だけになってしまいます。よって特別に“ir”の命令形は動詞andarの命令形と一緒にしてしまい “andá”となります。
また、dar,verなど単音節の動詞は da、veとなり、現在形と同じくアクセントがつかずに”tú”の活用と同じになります。
では、どのように使われるのでしょうか?
【例えば】 ●通常 ¿De dónde eres? あなたはどこ出身ですか? この “eres” は ser動詞のtúの活用ですので、ここが vosの活用になると”sos” となりますので ●vosを使う地域 ¿De dónde sos? あなたはどこ出身ですか? となります。 |
●通常 ¿Cómo estás?と聞かれ、”Bien, ¿y tú?”と答える このよくある会話も、vosをつかうと? ●vosを使う地域 ¿Cómo estás?と聞かれ、”Bien, ¿y vos?”となります。 アルゼンチンでは、 ”y tú?” ではなく ”y vos?” と言ってみましょう。 |
その他の例
【 通常活用 】 => 【 vosの活用 】 ¿Qué quieres? => ¿Qué querés? ¿Entiendes? => ¿Entendés? contigo => con vos Gracias a ti => Gracias a vos |
まとめ
アルゼンチンでは “tú” ではなく”vos”を使います。他の地域でも使いますが、そちらでは使い分けがもっと複雑なときもあるので、相手が使ってきたら使うといいでしょう。”vos” , “tú”, “usted” の3つを混ぜて使う地域もあります。vos独特の活用変化がありますがシンプルなので慣れると楽です。
私はアルゼンチンに1年ほどいたので毎日”vos”を使っていました。最初は違和感がありましたがあっという間になれました。しかも“tú”より活用が楽なので。といっても違うのは現在形と命令形(肯定)のみですが。また、アクセントがいつも後半に置かれるので、アルゼンチン独特のイントネーションと発音も加わるとさらに聞いていて、話していて楽しいです。”vos”に慣れすぎてしまうと、“tú”との使い分けはそんなには大変ではありませんが、(命令形は少し考えてしまいますが) “usted” をアルゼンチンではあまりにも使わなかったので、いまだに”usted”は使うと少しぎこちなく感じます(苦笑)。今でもイスパノではアルゼンチン出身のChris先生とコスタリカ(Cartago)出身のEmi先生とはいつも”vos”で話しています。私たちが話しているときは注目してみてください!また、Chris先生やEmi先生と是非使ってみてください♪”¿y vos?” と言ってみてください。