スペイン語圏と日本とで明らかに違う挨拶の仕方がまさにbeso(キス)です。
abrazo(ハグ→この言葉も随分日本で定着しましたね)も多いですが、このbesoは日本人では考えられない挨拶の仕方だと思います。私も以前は結構抵抗がありました。
その中でも、スペイン語圏の中でも私が以前住んでいたアルゼンチンでは特に頻繁にbesoの挨拶をするように思います。隣国のウルグアイも同様のようです。他のスペイン語圏では私が見た限りでは少しだけ頻度が減るように感じました。
アルゼンチンでは男性同士でもbesoの挨拶をします。
私は現地で世界中から留学生がくるスペイン語学校に勤めていましたが、その中の留学生の男性の中には男同士では抵抗があるという人もいました。
初対面の人との挨拶はもちろん、毎日挨拶と一緒にbesoをを右頬に1回します。
(スペインでやメキシコなどは2回が多いようです。南フランスなどでは3回や4回するということも聞いたことがあります。数回になると大変そうだなと思います。)
右頬にお互いするわけですから必ずしも頬に唇は当たらなくてもいいのですが、大事なのはしっかり唇をキスをする形にして音を立てること。音の大きさややや人にもよりますが、すごい音をたててする人もけっこういます。ハグをするように右手を相手の左肩にかけながらすることも多いです。
私はブエノスアイレスの語学学校に勤めていましたが、毎日学校につくと、Hola!といいながら周りにいる人基本的には全員にbesoをして回ります。上司などにも。帰るときも同様です。
人数が多いところだと周っていくのになかなか時間がかかります。
Fiestaなどで誰かのお家にお邪魔するときもなかなか大変。たとえ大勢いても、いる人全員のところを周ってbesoをしていきます。もうこれは流れ作業のよう。
それが例えば短時間だけお邪魔するとしても、今度は帰るときにまた全員のところを周ってbesoをしていきます。(急いでいるときなどは投げキスですましてしまうこともありますが)
これが、外国人同士だったりすると少しだけぎこちなくなり、どちらかが右と左を間違えてしまうと、口と口が当たってしまいそうになることも!(私も何回かやってしまい焦りました。。。相手が男性だと“ありがとう”と言われてしまったり、相手の彼女ににらまれてしまったことも。でももうこれはアクシデントです!)
またアルゼンチンで、まれに日本人の人と会っても日本人同士ではあまりする気になりませんでした。仲の良い女友達とはすることもありましたが。
それから電話やメールなどで相手がそこにいないときは、besoを実際にする変わりに“Un beso”と言葉にして言ったり、メールの最後に書いたりします。これは素敵だなと思いました。日本人は“お辞儀”とわざわざ言ったり書いたりはしませんからね。その代わりに電話をしたりしながら実際にお辞儀をしてしまうことはありますが。
日本に帰ってきてしばらくはこのbesoが少し恋しかったですが、慣れてしまうとあっというまでした。
当校の講師たちも新しい講師が入ったときや、久しぶりに会った時はbesoで挨拶をしますが少しずつみんな日々の生活でしないことに慣れていくと頻度はどんどん減っていっているようです。それでも必ずbesoで挨拶をしあっている講師たちもおりますが。
中南米の講師たちはスペイン人の講師などとのときは、あっ2回だったね!とそれぞれの頬に2回besoをします。
物をもらったお礼の時やお祝いのときなどもbesoをしますね。
こればかりは日本文化で定着することはまずないのではないでしょうか。
しかしながら、不思議に思うのは、日本人はお子さんに対してもそうかもしれませんが、何よりペットにはよくキスをするように思います。ペットにはよくキスをしても大人になると親子や兄弟でキスをするということはないですよね。ハグですらあまりないですよね。
アルゼンチンでは例えば父親と娘が、兄と妹が、肩や腰などに手をまわしてソファーでくつろぐなどということもあり、これもなかなかびっくりしました。
国や地域によってもする頻度や回数などは変わるので、相手の文化に合わせる形として、私は相手の出方を見てから対応するようにしていますが、やはり久しぶりだとぎこちなくなってしまうときもあります。。ですがこちらが日本人だと、相手もその習慣がないことは大体分かってくれているのでその辺は細かいことを気にしないように感じます。
日本に来た外国人の人たちもお辞儀をしてくださりますね。
お辞儀とbeso、両方を取り入れたらちょっと異様な光景になってしまいそうですね。